前十字靭帯に負担をかけずに滑る方法

前十字靭帯に負担をかけずに滑る方法

ほとんどの断裂事故はターン後半に起きる。 鉛直方向とエッジの除雪抵抗が最大にる方向が一致する。よって雪面からの抵抗を受けやすくなり、なおかつそれを支える関節への負担を身体操作で意図して軽減しにくいからだ。逆にターン前半では一番違う方向になるので、身体操作で除雪抵抗を受けない選択が簡単にできる。したがって関節に負担がかかりにくい。 特にターン後半でどのようにして負担を減らすのか?膝関節が抜けて前後の十字靭帯が損傷するためには、前後への大腿骨頭の滑り出しが必要であり、これを抑制することが重要である。 加重中心を前にもってくるとつんのめって膝関節が過剰伸展して損傷するので前に加重しすぎることも良くない。

脛骨と同方向に脛骨の骨頭を押すように力を加えれば、前後の靭帯への負担はなくなる。これがブーツに沿って力を加えることの正しい定義である。 “全ての膝関節の靭帯への負担を0にしてかかとを押すように力を加える。” == “ブーツに沿って力を加える”

ターンをせずに一定の斜度かつ摩擦力の斜面をまっすぐ滑り降りると、膝関節で斜面と並行にスキーをゴール方向に押す単位時間あたりの仕事は同じである。 その状態で前十字靭帯に負担をかけない姿勢は、膝を曲げておくことである。 https://xpert.link/column/417/#popup これは膝を伸ばしっぱなしで蹴って物を動かす時とある程度曲げて動かすときにどちらが膝の周りが局所的に疲れるかという感覚と合っている。

スキーでは膝を深く曲げると後傾して重心を持ち上げるために膝の伸展トルクを使わざるを得ない状態に追い込まれやすい。それを回避しながら、スキーを重心からスキーの進行方向に押し出す仕事をする局面では膝を曲げて、その仕事が少ない局面では膝の伸展トルクを使わないように操作する方法を実行したい。

ターン後半で身体が前に行き過ぎてつんのめっているときの処理

ターン後半とはターンマックスとターン切り替えを含まないターンマックスからターン切り替えまでの区間とする。 提示されている解決策は、“ブーツに沿って力を加える”以外の膝関節への操作をしないことが前提である。

原因

解決策

ポンピングトラックの下り坂で重心が前に行き過ぎてしまったときに、支持基底点を前方に移動するように動作がもっとも単純化された具体例である。

間違った動作

重心位置を単純に後ろに持ってくる。重心位置が正しくても、つんのめる場合がある。 膝関節を伸展し、ブーツを自力で前に送る。正しい操作をすると、支持基底面から雪面へ加重するだけで、ブーツが前に出てくるので、ブーツのヒールカップでブーツが押される。正常系の動作でブーツを前に送っていいのはターン前半だけ。春になると、ターン後半で板を前に送って加速している気分になって楽しくなる場面もあるが、早急にやめたほうがいい。怪我をします。

ターン後半で身体が乗り物に対して遅れているときの処理

間違った動作

ブーツを潰しながら加重中心を後方に移動する方法

ブーツを潰すために、前方向にピッチングさせるために膝を90度に曲げて脛骨方向と直角に大腿骨に力を加えると、大腿骨頭の前方への滑り出しは最大になり、怪我をしやすい。前方への滑り出しをゼロにしてブーツを潰し任意の場所に加重中心を置く方法を考える。 大腿骨頭が前方に滑る分だけブーツの前傾角に沿って力を加えることで、筋力で関節が脱出するのを抑えられる。 脛骨方向と直角に加わる力が一定だとして、膝を進展させる筋肉の緊張が強いほど大腿骨頭は前方に滑り出しやすくなる。 したがって膝を伸展させる筋肉ではなく、ブーツを潰すときには膝を屈曲させる筋肉を使うべき。 膝を屈曲させるとピッチングで前転する方向にスキーヤー全体の角運動量が増加しないが、トップが雪面に押し付けられることによりブーツはより潰れる。 膝を屈曲する前に、十分に重心が前に存在しない限り、後傾になる。 そうして加重したトップの圧力を維持したまま、ブーツの前傾角にそって加重することで加重中心は後ろに移動する。 膝を進展させる力を発揮せず、ブーツにそって踵の後端に加重する限りは、後傾にはならない。

ターン始動時以降、加重中心を前方に移動を開始するときに、膝に屈曲トルクを発生させて移動を始めるべきか?伸展して移動を始めるべきか?

屈曲させるべき。

スキーの後ろから前方向に重心が移動する速度が一番大きいのはどのターン局面か

ターンの局面はターン切り替え同士の間を何らかの基準で分割して設定する。

ターン切替時

ターン切り替え後に前に運ぶようでは遅い。ターン切り替えから前への移動速度は減少する。

参考

Rick Howell の分析